慰謝料請求とは

保護されるべき権利とは

民法709条は損害賠償の要件として「他人の権利又は法律上保護される利益」(以下「守られるべき利益」といいます。)が侵害されたことが要件とされています。
一方配偶者による不貞行為による損害賠償請求の局面では、この「守られるべき利益」は、婚姻共同生活の維持という権利又は法的保護に値する権利、いいかえると婚姻生活を存続させ、かつ安定した婚姻生活を送るという利益であると解されるのが一般的です。
このことから、以下の2つのことが導かれます。

すなわち、①そもそも婚姻関係が破綻している場合には「守られるべき利益」がないものとして、損害を賠償する義務が否定されるということです。この点につき、平成8年3月26日最高裁判所第三小法廷判決は、「婚姻関係がその当時既に破綻していたときは,特段事情のない限り、YはXに対して不法行為責任を負わないものと解するのが相当である」と判示しています。

また、②法律上保護される利益はあくまで、婚姻共同生活を維持する利益ですので、原則として不法行為により権利の侵害を受けるのは一方配偶者であり、子による慰謝料請求は認められないのが原則です(昭和54年3月30日最高裁判所第二小法廷判決)。
もっとも近時は、子が親である一方配偶者からの愛情、監護を受けられなくなるという事実を、父母との共同生活によって得られる精神的平和を害され、人格権を侵害されたものと評価する裁判例も増えてきています。このような事情は、配偶者の不貞により精神的苦痛を受けた他方配偶者からの慰謝料請求において、増額事由として考慮されることとなります。

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