慰謝料請求とは

共同不法行為、求償とは

1. 共同不法行為とは

不倫・不貞行為による慰謝料請求の問題が起きた時は、想定される当事者関係は、主に次の3名です。

  1. 不倫・不貞行為をした配偶者(「配偶者①」)
  2. 不倫・不貞行為をされた配偶者(「配偶者②」)
  3. 不倫・不貞行為の相手方(「交際相手」)
です(図1)。

図1

配偶者②は自身の被った精神的苦痛を賠償してもらうために、
(1)交際相手③に対して慰謝料請求する、
(2)配偶者①に対して慰謝料請求する(※)、または
(3)交際相手③及び配偶者①の双方に対して慰謝料請求すること
が考えられます。
(※配偶者②の配偶者①に対する慰謝料請求は、配偶者②と配偶者①との間の離婚協議、離婚調停または離婚訴訟において行われることがあります。)

問題は配偶者①への請求と、交際相手③への請求との関係です。

法律上、配偶者①と交際相手③は、共に配偶者②の権利または法律上保護される利益を侵害するという違法な行為を行ったとして、「共同不法行為」(民法第719条)を行ったものであるとの評価を受けます。

民法719条により、配偶者①または交際相手③は「連帯して」賠償義務を負うとされます。具体的には、配偶者②がX円相当の精神的苦痛を受けた場合には、配偶者②は、配偶者①と交際相手③から合計X円の賠償を得ることができ、X円のうち全部または一部を、配偶者①と交際相手③のいずれに請求しても構いません。

2. 求償とは

不貞行為が共同不法行為であり、配偶者②に対し、配偶者①または交際相手③が連帯債務を負う結果、配偶者②からの請求の仕方によっては、配偶者①または交際相手③の負担する賠償額に偏りが生じ得ます。これを調整する作業を「求償」といいます。
例えば、配偶者②が交際相手③に慰謝料請求を行い、交際相手③が配偶者②にX円全額を支払った場合(図1)、交際相手③は、共に不貞行為を行った配偶者①に対し、配偶者①の責任負担割合に応じた金額の請求をすることができます。
配偶者①及び交際相手③は合わせてX円の賠償義務を負いますが、その最終的な内訳(責任負担割合)は必ずしも5:5ではなく、不貞行為に及ぶことになった経緯や一方配偶者に配偶者や子がいることの認識の有無などの事情により様々です。

発展的な事案として、不貞行為をしている配偶者だけではなく、不貞行為の相手方にも配偶者(配偶者④)がいるような事案が挙げられます。いわゆる「ダブル不倫」の事案です(図2)。この場合、上記の配偶者②から配偶者①への慰謝料請求、配偶者②から交際相手③への慰謝料請求の問題だけにはとどまりません。配偶者④から配偶者①又は交際相手③への慰謝料請求が考えられることになります。

図2

例えば、配偶者④から配偶者①への請求だけが行われるのは、
  1. 交際相手③及び配偶者④の婚姻関係が交際相手③と配偶者①との不貞行為により破綻し、他方で、配偶者①と配偶者②の婚姻関係は破綻しなかった場合
  2. 配偶者①と交際相手③の不貞行為において、配偶者①による行為の悪質さが交際相手③による行為の悪質さを大きく上回り、違法性が明らかに大きいと考えられる場合で、配偶者④の損害(精神的苦痛)が配偶者②の損害(精神的苦痛)を上回ることが明らかな場合
  3. 配偶者①と交際相手③による不貞行為配の事実を、配偶者②が気づかない、または気づいたとしても配偶者②が自らは慰謝料請求しないことにした場合
などが考えられます。

法律関係としては、1.で前述した配偶者②からの請求の場合とかわりません。

配偶者④から配偶者①への慰謝料請求及び配偶者②から交際相手③に対する慰謝料請求双方が行われる場合、不貞行為をしてしまった配偶者①と交際相手③の負担する額は、配偶者②への賠償額と配偶者④への賠償額の双方となりますので、負担が大きくなります。配偶者①と交際相手③の責任負担割合や実際の配偶者②への賠償額及び配偶者④への賠償額を踏まえ、求償関係を決定することになるでしょう。

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